台北の朝ごはん2選:永和豆漿と青島早餐を歩いて巡る
アジアの朝食には、その土地の空気が詰まっている——。
それが私の実感です。
ヨーロッパやアメリカでは、ホテルやおしゃれなカフェでの朝食も十分に楽しめます。ですが、アジアでは町に出てこそ味わえる“朝の顔”があります。
もちろん台湾もそのひとつ。
そのため私は、台湾に滞在するときは、最近はもっぱらホテルで朝食を取らず、外に食べに出かけるようにしています。
朝の澄んだ空気のなか、豆乳の湯気に包まれながら地元の人たちに混じって一日を始める。そんな時間が、旅の記憶をぐっと豊かにしてくれるように感じるのです。
今回の宿泊先は、台北駅の目の前にある Caesar Park Hotel(台北凱撒大飯店)。アクセスもよく、朝食を探して歩くにはちょうどいい場所でした。
2日間の滞在中、朝ごはんはどちらも徒歩圏内のローカル食堂へ。
本当は旅のすべてを綴りたいところですが、書き始めると長くなってしまいそうなので——
今回はその中から、特に印象に残った「朝ごはん2選」をご紹介します。
永和豆漿で味わう、台湾の定番朝ごはん
初日の朝は、ホテルから歩いて15分ほどの「永和豆漿」へ。

台湾を旅していると、やたらと目に入るこの“永和豆漿”という看板。
最初は「台湾の有名チェーン店なのかな?」と思っていたのですが、実はちょっと違うようです。

「永和豆漿」という名前の由来は、台北市の南にある新北市・永和区。
1950年代に中国大陸から台湾に渡ってきた人々が、故郷の味を再現しようと開いた豆乳の朝食店がそのルーツとされています。
やがてそのスタイルが広まり、いまでは“台湾式朝ごはん”を指す、いわばジャンル名のような存在とのことです。
——日本でいうと、外国人が「月極駐車場(つきぎめちゅうしゃじょう)」を見て、「“月極”という巨大な駐車場チェーンがあるのか!?」と驚く、そんな感じなのかも。(ぜんぜん違うw)
さて、この日注文したのは、台湾式のおにぎり「飯糰(ファントァン)」。
日本のおにぎりとはずいぶん趣が異なり、見た目は三角ではなく、また海苔もなく、細長い棒状でビニール袋に入っています。サイズも大きく、手のひらからはみ出すほどのボリュームです。



特徴的なのは、もち米や紫米、黒米などを使っていて、もっちりとした食感があり、さらに具材がとても豊富なこと。
この日食べたものには、豚肉(揚豚肉)、豚肉のそぼろ(肉鬆)や、台湾ならではの揚げパン「油條(ヨウティアオ)」、たくあんなどが詰め込まれていました。このタクワンがいいんですよね。
香港にもほぼ同じものがあり、広東語では「粢飯(ツァイファン/ジーファーン)」と呼ばれています。
名前や米の種類、包み方に違いはあれど、「温かいもち米で一日を始める」という感覚は共通していて、でも台湾の方がデカい!
後は冷たい豆乳(豆漿)はちょっと甘くて、ふくよかな大豆の旨みが朝の体に優しく染み込んでいくようでした。
さらに小籠包も加えて、大満足の一食に。

派手さはないけれど、日常に寄り添うような“旅の思い出”。
これを書きながらまた食べたくなる、そんな朝の味でした。

📍訪れたのは、こちらの永和豆漿(Googleマップ) です。
行列の先にあった、青島早餐の鉄板麺
2日目の朝は、少し予定外の展開に。
当初行こうと思っていた店がなかなか見つからず、地図も曖昧で諦めかけたそのとき。
ふと目に入ったのは、行列ができている食堂。看板には「鉄板麺」の文字があり、朝からかなりの人気のようです。その列に並んでみることにしました。
あとから調べたところ、その店は「青島早餐」という名前でした。
ちなみに、隣には「黒糖早餐吧」という店もあり、最初はそちらの列かと思っていたのですが、実際に入ったのは青島早餐の方。こういう“隣り合った人気店あるある”も、旅先ならではですね。


場所は、スターバックス(星巴克 時代寓所門市)の真正面。地元の人も通う生活圏にあって、観光客にも見つけやすい立地です。
「鉄板麺」は、日本で言うと焼きそばに近い見た目ですが、味はあっさりめ。ソースではなく、醤油と胡椒ベースの調味で、やさしい味付け。麺のうえには、目玉焼きと鶏のナゲット風の揚げ物がセットで載っていて、思った以上にしっかりボリュームがあります。
さらに、ここでも豆乳を添えて、朝からしっかりエネルギーチャージ。


そして食べている途中、目の前に停まったのが、ヤクルトのデリバリーカーでした。

台湾ではヤクルトを「養楽多」と表記するんですね。
“養う・楽しい・多い”——いかにも体に良さそうな漢字の組み合わせです。
ちなみに、香港など広東語圏では「益力多」と書くのが一般的。どちらも“健康・栄養・親しみ”を連想させるネーミングで、音も「ヤクルト」に近づけてあるのが面白いところです。
旅の終わりに
旅のハイライトは、決して観光名所だけではありません。
町の空気を吸いながら地元の人と同じごはんを味わう、そんな“ふつうの朝”が、あとから楽しく思い出されるものなのかもしれません。
アジアの朝食には、その土地の空気が詰まっている。
そう感じさせてくれた、2つの台北の朝でした。
NDフィルター×Xiaomi 15 Ultraで切り撮る、台北バイクラッシュ!
ガジェットファンの皆さん、ようこそ『俺流トラベルガジェットの世界』へ。
旅先での“ちょっとした工夫”が、スマホ撮影の可能性を大きく広げる——そんな体験を、今回は台湾・台北でしてきました。
テーマは「スローシャッター」。
スマホでスローシャッター?と思われるかもしれませんが、NDフィルターを使えば可能です。今回は、Xiaomi 15 Ultraに67mmの可変NDフィルター(ND4〜ND400)を装着し、バイク天国・台北でちょっと変わったスナップに挑戦してみました。
撮影場所に選んだのは、台北駅の横にある歩道橋。そこから見下ろす交差点は、バイク天国・台湾ならではの光景が広がります。

信号が赤に変わると、車と車の隙間を縫ってバイクがどんどん前へ。やがて先頭には数十台のスクーターがぎっしり並び、まるでスタートラインに並ぶレーサーのような構図が完成します。
そして——信号が青に変わる瞬間。
台湾の午後、シャオミとライカとカキ氷
台湾に行くと、つい“地元の人の暮らしが見える通り”を歩きたくなります。
中でも今回訪れた迪化街一段は、妻がとても気に入った場所でした。

台北の問屋街として知られるこのエリアには、漢方薬や乾物、布地や茶葉などの老舗がずらりと並び、レトロな街並みにかわいい雑貨店も混じっていて、ただ歩くだけでも楽しいのです。






そんな迪化街での午後、ジリジリと焼けるような日差しの中、乾物屋を見て回るにも、さすがにこの暑さでは涼むどころではありません。
「そろそろ、座って休みたい」
妻のその一言に、ちょうど商店街の端に見つけた、行列のカキ氷屋さんへ。

お店はこぢんまりとしていて、席も少なめ。でも並んでいる人たちはみんな期待に満ちた顔。これは間違いないと、我々も列に加わりました。
後ろにいたカップルと何となく目が合い、ふと気づきます。
あれ、お互い持ってるスマホ……Xiaomi 15 Ultraじゃない?

そんな偶然がきっかけで、自然と会話がスタートしました。
とはいえ、彼らとの会話の通訳は妻にお願いします。最初はスマホの話で盛り上がっていたのですが、ふと彼の目線が、私の首にぶら下げていたフイルムLeica M2へ。
彼のガールフレンドに向かって、「俺もこれ欲しいんだよ」と話しているらしく、妻が笑いながら訳してくれます。
「でもレンズがすごく高いって言ってるよ」
……うう、ヤバい
私はとっさに「いやいや、新品のライカはもっと高いから」
自分でも何をフォローしたかったのか、よくわからない言い訳です。
そんなこんなで、やっと座って食べたかき氷は、まさに“台北のご褒美”。
汗も引いて、ほっと一息ついたそのタイミングで、私はふと思いついて妻に言いました。

「もし俺に何かあって、このカメラを売ることになっても……俺が言ってた値段で売っちゃだめだよ」
その瞬間、妻はかき氷よりも冷えた視線を私に向けたのがわかりましたが、私は目を合わせる勇気がなく、じっと氷をつつくスプーンを見つめていたのでした。
台湾HSBCで“とても丁寧な門前払い”を受けて知ったこと
先日の台北旅行の際に、ふと「これだけ頻繁に台湾に旅行するのだから、台湾でもHSBC口座を作ってみよう」と思い立ちました。
香港でHSBCのプレミア口座を持っていれば、シンガポールやイギリスなど世界中の支店で比較的スムーズに口座を開設できるというのは、ある種の常識です。
ならば台湾でも——と思い、軽い気持ちで台北市内のHSBC支店を訪れてみたのです。

入口を入ろうとしたらガードマンっぽい男性が用件を聞いてきました。妻が普通話で「口座開設したい」と伝えると、こちらが日本人だとわかったようで、丁寧な日本語で対応してくれました。
ただ、返ってきた答えは意外なものでした。
「大変申し訳ありませんが、台湾IDをお持ちでない方にはHSBC台湾で口座開設はできません。」
なんと、非居住者は台湾口座を作れないというのです。
実質の門前払いなのですが、その理由を日本語でとても丁寧に説明してくださり、ちょっと恐縮してしまいました(笑)
香港に戻って調べてみたら…
このことが少し気になって、香港に戻ったあとでHSBC香港のサイトや関連資料を改めて確認してみました。
すると、どうやらこれは単なるHSBCのルールではなく、台湾ドルという通貨そのものの“性格”に理由があるようです。
🔹 台湾ドルは「自由通貨」ではない
台湾ドル(TWD)は、国際的な為替市場でも一応取引されている通貨ですが、資本移動には一定の制限がかけられています。
つまり、台湾当局が 為替相場や資本流出入を監視・管理している「外為管理対象通貨」にあたります。
これは、
投機的な動きを避ける
為替の安定性を保つ
マネーロンダリングを防止する
といった目的によるものです。
そのため、台湾国外でTWD建ての銀行口座を開くことは基本的に認められていません。
私がHSBC台北支店で断られたのも、こうした背景に基づくものでした。
🔹 HSBC香港のマルチカレンシー口座にTWDが含まれない理由
HSBC香港のプレミア口座では「マルチカレンシー口座」が提供されており、次のような通貨が含まれています:
香港ドル(HKD)
米ドル(USD)
日本円(JPY)
ユーロ(EUR)
英ポンド(GBP)
人民元(CNY)
豪ドル(AUD)
カナダドル(CAD) など
これらはいずれも、国際送金・貿易・資産運用に使われる“自由通貨”です。
TWDのように「管理のある通貨」は、グローバルな口座商品には馴染まないというわけです。
🧭 台湾ドルと同様な通貨もある
ちなみに、台湾ドルと同様に「海外での保有や送金に制限がある通貨」には次のようなものがあります:
インドルピー(INR)
韓国ウォン(KRW)
中国人民元(CNY)※オンショアの場合
ブラジル・レアル(BRL) など
いずれも、為替市場では取引されていても、海外で自由に口座を開いたり資産を保有するのは難しい通貨です。
HSBCやシティバンクなどの国際銀行でも、こうした通貨はマルチカレンシー口座には含めていないのが一般的です。
✍️ 「通貨の自由度」は国家の考え方を映す鏡
同じように見える「通貨」でも、国や地域によってその性質や自由度はまったく異なります。
今回の台湾ドルの件は、「口座を作ろう」と思っただけの話が、意外と深い“通貨の壁”にぶつかるきっかけになりました。
香港から世界を眺めていると、見えてくるのは“お金の自由”と“国家の姿勢”のせめぎ合いだったりもします。