非中国籍永住権保持者向け回郷証取得について
初出:2024-08-10
香港在住の日本人の間で、最近 大きな話題となっているのが「非中国籍永住権保持者向けの回郷証取得」です。
コロナ以降、日本人の中国入国に際しては2週間以内の短期滞在でもビザが必要となっています。
このためビザ取得は、当日発行ビザを入国時に並んで取得するか、APECカードを自分の所属する会社経由で申請するなどが必要でした。
香港在住日本人に大きなニュース
ところが2024年7月に突然、香港、マカオ在住で永久居民ステータスを取得している人に、香港人が取得可能な「回郷証」申請を受け付けると中国政府からニュースがあったのです。
7月8日付ニュース
在香港・マカオの非中国籍永住権保持者も回郷証を取得可能に
中国政府からの通達
申請に必要な条件は、非中国籍の香港永久居民ということで、私も該当するので早速申請しました。
今回はその手順と気をつけるべき点をまとめてみました。
1.回郷証を申請するために必要な書類
回郷証を申請する前に、まず香港イミグレーションから、回郷証取得の資格があることを証明した書類を下記リンクから入手する必要があります。
申請完了時に申請&受付した旨(acknowledgement receipt)のPDFがダウンロード可能になっています。
また申請完了したというメールが届くという話も聞くのですが、私は届きませんでした。
2.イミグレーションから届いた書類
上記申請から数日で下記のようなレターが上記で登録した住所に届きます。
この書類は、日本人であること、香港永久居民であること、中国籍でないことを証明しています。

3.回郷証(非中国籍)申請
2番の書類が届いたら下記リンク先から申請を行います。
自分の情報を記入し、最後に香港内にある中国旅行社の申請所から行きやすい場所を選び、受付が空いている日時を選択して申請完了です。
わたしは旺角 洗衣街の臨時申請所にしました。
空時間が11:20以降だったので、一番早い11:20を予約しました。
すぐに下記メールが届きます。

4.ダメ元で朝イチ並ぶ

予約は11時でしたが、申請事務所が開く9時に並んだら問題なく申請できました。
香港によくあることですが、予約時間はあくまで目安で、システム登録されているわけではないので、行った時間に受け付けてくれるようです。
写真でみるとボロいですが、中はかなり大きいです。(窓口も20個くらいあったと思います)



5.申請に際して必要な書類
1.上記2で届いた香港政府からのレター
2.日本パスポート
3.香港IDカード
4.APECカード(持っているならば、持って いない場合は不要)
5.申請費用260ドルと書類コピー代 数ドル
6.バーコード付きの写真
6.注意事項
4のAPECカードですが、受付の女性スタッフと話している際に、APECカードを所持していると話したら、あるなら申請時に見せる必要があるとのことで、面倒ですが一旦家に戻り、再度申請となりました。
APECカードを持って来た際に、再び受付すると時間がかかるので、先ほど途中までやってくれた女性の窓口に行って、目配せしたら、相手も「いいよ」とのことですぐに申請手続きに移りました。
6.の顔写真、わたしは手持ちの写真があったのでこれで行ける?と聞いたらダメとのこと。
申請所と同じビルの1フロア下にある証明写真機で撮るか、同じビル内にある民間がやってる写真屋さんで撮影する必要があります。

自分で撮る証明写真機だと50ドル、民間撮影ショップ25ドルなので、民間ショップの方がいいかも。

とにかくバーコードがついてるのが必要。
多分撮影日のデータが入ってるとかだと思います。
7.受付完了
受付が完了し費用260ドル+αを払うと下記書類をもらえますので、これを持って約ひと月後に回郷証がピックアップ可能となります。

以上 今後 取得する人の参考になれば幸いです。
外国人用 回郷証があればパスポート無しで中国入国できるように
初出:2024-08-13
前回 紹介した「非中国籍永住権保持者向け回郷証」、つまり香港やマカオに7年以上住んで永久居民(永住権)を取得している人が取得できる回郷証をいち早く取得した知人と昨日 中国深センに入り、実際の運用状況を体験したのでその様子を報告します。

入国時の具体的な流れ
この回郷証があれば中国入国は非常に簡単になります。
具体的には
1.パスポート不要で中国出入国可能
2.入国に際しての紙のエントリーカード記入不要
3.初回は e道と呼ばれるカードと顔&指紋認証では通れない
(e道未登録のため)
4.e道の登録は中国イミグレを超えたところにある登録事務所で可能。登録したあと、香港戻りはe道でスムーズに香港に戻れる。
e道 申請方法
皇崗口岸のイミグレーションにある e道 登録所はイミグレを出てすぐにあります。下の写真を参考にしてください。

この写真にある「請取号」という受付チケット発行マシンでチケットを貰う必要がありますのでご注意ください。
チケットを見せると、写真と指紋採取をしてくれて、約10分ほどで完了します。
APECカードとの違い
APECカードを持っている場合には大差ないと考える人もいると思いますが、その違いは
1.回郷証は中国政府が発行しているので中国内で身分証として通用する
2.APECカードではパスポート提示とエントリーカード記入は必要
3.APECカードではパスポートに入出国スタンプが押される
など中国入出国の観点からは回郷証の優位点は多いと感じます。
所感
パスポートなしで通れるのは頻繁に出入りする人にとっては非常に便利です。
裏話ですが、知人がこの回郷証で通ろうとした際に、係員が飛んできて、このイミグレーションで非中国籍 回郷証の通行者は初だそうで、「ぜひ一緒に写真を撮りましょう」と、かなり偉い女性オフィサーと二人でセルフィーを撮られたそうです。
さらなる期待は、中国に多くある安宿は、中国人の身分証や、香港人が持っている回郷証の提示が求められ日本人のパスポートでは泊まれないことが多いですが、この非中国籍 回郷証があれば日本人でもこういった安宿に泊まれるのではと思います。
以上 今回は先に取得した友人の付き添いでの検証となりましたが、今後 9月9日に私が手に入れた際にはまたさらなる検証をしてみようと思います。
今後取る方の参考になれば幸いです。
回郷証取得の遅延と端末による自動発行
初出:2024-09-16
何度かこちらで報告していますが、申請していた非中国籍者用の回郷証を本日(9月16日)受け取ってきました。
8月10日に旺角で申請、本来であれば1ヶ月後の9月9日にもらえるはずだったのですが、数日前に 中国旅行社 (CTS Entry Permit Service Hong Kong Limited) から下のようなタイトルのメールが届きました。
【重要通知】關於非中國籍通行證領取延遲的通知 [Important Notice] Delay in MTP Collection Due to Approval Process
メールの内容によると、申請が非常に多く処理能力を超えたため、9月9日には用意できないとのことでした。用意ができたらメールするので、それまで待つようにとのことでした。
30年も中国政府とやり取りしていれば、文句を言ってもどうにもならないことはわかります。そのため、じっと我慢していました。
9月18日から日本に行く予定で、日本から戻ってからの受け取りになるかと思い始めていた本日(16日)の朝に、突然「できたよ〜」とメールが届きました。
早速受け取りに行きましたので、その状況をお知らせします:
◎ 受け取り場所は申請に行った旺角臨時中心です。

◎ 階段を上がってこの「自助取証区」という配布用端末が並んだフロアへ

◎1番の端末に行くよう係の女性に指示されました。

◎ 申請時にもらった「受理回執」用紙にあるバーコードを端末で読み取らせます。
◎ 香港IDカードをスキャナー読み取り部分(ガラス部)に情報面を下にして置きます。
◎ するとこんな感じで回郷証がスロットから「にゅっ」と出てきます。

ということで無事に入手できました。

コロナ以降、中国入国にはビザが必要だったのですが、これでビザ無しで入国できるようになりました。
有効期限は2029年9月ということで5年ですね。
費用などは以前の記事を読んでいただくと詳しく書いています。
本日の取得に関してはこの端末操作だけで、本人確認などは不要でしたので代理人でもOKだと思います。
以上 今後取得する方の参考になれば。
回郷証で初めての中国入国:手続きの流れと「e道」登録のすすめ
初出:2024-10-15
はじめに
皆さん、こんにちは。これまで回郷証についていくつかのコラムを書いてきましたが、今回はついに回郷証(非中国籍)を使って初めて中国に入国した体験をお伝えします。加えて、e道(自動ゲート)の設定手順もご紹介します。
その前に、回郷証ってなに?という方のために、回郷証のメリットを下記で説明してますのでご存じない方はご一読ください。
回郷証での初入国
2023年10月5日、回郷証を取得してから初めて中国に入国しました。パスポートなしで中国に入れるという不思議な感覚を味わいながら、以下の流れで入国しました。
香港・太子から皇崗口岸へのバスを利用(HK$48)
香港出境での手続き
中国入境での回郷証使用
中国入国の詳細
「特別道」(APECカード保持者や高齢者用)ゲートを使用
オフィサーに回郷証を提示
入国目的や滞在期間について質問を受ける
指紋と顔写真の登録
入国カードの記入はしませんでした(ただし、聞かれる内容は同じ)
注意点:入国カードを書いたほうがスムーズかもしれません。今回は書かなかったため、口頭での質問があり少し時間がかかった気がします。

e道(自動ゲート)の設定
入国後、次回からの手続きを簡略化するために、e道の設定を行いました。
設定手順
中国イミグレを出て正面の建物内にある登録センターへ
入口横の番号札を取る(人がいない場合は不要)
回郷証を提示
指紋登録と顔写真撮影
登録完了

所要時間は約10分程度でした。これで次回からは、オフィサーを通さずに自動ゲートを利用できます。
感想とアドバイス
今回だけは少し時間がかかりましたが、これ以降は無人ゲートで出国できるのは快適です。
e道の設定は、頻繁に中国へ行く方にはおすすめです。
おまけ:無料の水自販機
皇崗口岸駅で見つけた、WeChatで登録すると無料でもらえる水の自販機をご紹介します。国慶節特別版もあり、ちょっと面白い体験でした。

回郷証を使った初めての中国入国は、少し緊張しましたが、思ったよりもスムーズでした。e道の設定も簡単で、次回からの入国がさらに便利になりそうです。皆さんも回郷証を取得された際は、ぜひe道の設定をお忘れなく!
関連:中国、日本人の短期滞在ビザ免除再開へ?
初出:2024-11-18
日本から中国への渡航がより容易になる可能性が出てきました。
中国国営の旅行会社に当局から、日本人の短期滞在ビザ免除措置の今月中の再開を検討しているとの通知があったとのことです。
これは単なる入国管理の手続き変更ではなく、より大きな地政学的な文脈で捉える必要がある動きです。
実務面での影響
現在、一般の日本人が中国を訪問する場合、ビザの取得が必要となっています。これは費用面での負担だけでなく、手続きの手間も伴います。
例えば、深圳での買い物や観光を希望する日本人観光客にとって、このビザ取得の壁は決して低くないのが現状です。
一方で、香港居民や私のような非中国籍回郷証保持者などは、従来通りの渡航が可能な状態となっています。
つまり、今回の措置は一般の日本人旅行者やビジネスパーソンにとって特に大きな意味を持つことになります。
政治的な文脈
この動きの背景には、より大きな国際政治の動向が見え隠れしています。
最近行われたAPECでの習近平国家主席と石破首相の会談、そして米国での次期大統領選の動向などが影響していると考えられます。
特に米国でのトランプ氏の動きを見据え、中国としては日本との関係改善を模索する必要性を感じているのかもしれません。
少なくとも、一定の関係性を維持したいという意図は読み取れます。
相互主義からの転換
注目すべきは、今回の措置が従来の中国の立場から一定の転換を示唆している点です。これまで中国側は「相互主義」の観点から、日本側にも中国人旅行者へのビザ免除措置を求めてきました。実際、中国外務省の汪文斌報道官も、双方の人的往来がより円滑になることへの期待を表明しています。
しかし今回は、そうした相互主義的なアプローチを一時的に棚上げし、日本側への一方的な便宜供与を検討する姿勢を示しています。この柔軟な対応の背景には、米国での政権交代を見据えた戦略的な判断があるものと推察されます。
残る課題
しかし、課題がないわけではありません。近年、中国での邦人殺害事件など、安全面での懸念材料も存在します。そのため、渡航緩和と同時に、適切な安全対策の確保も重要な論点となるでしょう。
展望
このビザ免除措置が実現すれば、観光やビジネスでの人的往来が活発化し、経済面での交流促進が期待できます。それは両国の相互理解を深める基礎ともなりえます。
中国側のこの動きは、地政学的な計算に基づく外交戦略の一環でありながら、実務レベルでの交流促進という実質的な効果も期待できる施策と言えます。
特に、従来の相互主義的なアプローチを超えて一歩を踏み出そうとする姿勢は、対日関係改善への積極的な意思を示すものとして注目に値します。
今後、具体的な進展があればまたこちらで報告したいと思います。
関連:中国、日本人ビザ免除を正式発表
初出:2024-11-22
先日のAPECで印象的な場面がありました。習近平国家主席と石破首相の握手です。これまでの日本の首相との会見で見せていた苦虫を噛み潰したような表情とは打って変わり、習主席は柔和な笑顔を見せていました。そしてその直後、日本人の短期滞在ビザ免除措置の正式発表がありました。
注目すべき30日という期間
今回の措置で特に目を引くのは、滞在可能期間が従来の15日から30日へと倍増している点です。この変更は単なる数字の違い以上の意味を持っています。
15日の滞在期間は、一般的な観光やビジネス出張には十分でした。しかし30日となると、より長期的なビジネス展開や、中国各地を巡る長期旅行、さらには文化交流や学術交流などにも対応できる期間となります。中国側のより踏み込んだ関係改善への意欲が感じられます。
地政学的な文脈
この一連の動きの背景には、アメリカの政治情勢が大きく影響していると考えられます。トランプ氏の次期大統領就任が視野に入る中、中国としては少なくとも日本とは一定の関係性を保っておきたいという思惑が透けて見えます。
そのような中での滞在期間の倍増は、より実質的な人的交流を促進したいという中国側の意図を示唆しているのかもしれません。
期限付き再開の含意
実施期間は2024年11月30日から2025年12月31日までの期限付きです。日本を含む9カ国を対象としています。
この「期限付き」という選択には、中国政府の慎重な姿勢が表れています。しかし同時に、30日という寛容な滞在期間と合わせて考えると、この1年強の期間で具体的な成果を出したいという積極的な意図も読み取れます。
大湾区におけるビジネスチャンス
香港在住者にとって、この30日という期間は新たな可能性を開きます。例えば:
深圳でのビジネス展開により余裕を持って取り組める
広東省の工場との長期的な技術協力がしやすくなる
文化交流イベントの企画運営が容易になる
観光業界の期待と現実
中国の観光業界、特に上海や四川省の旅行会社からは、早くも歓迎の声が上がっています。30日の滞在が可能になることで、より深い中国体験を提供できるとの期待が高まっています。
ただし、近年の中国での邦人に対する無差別殺傷事件の発生を受け、観光目的での渡航については依然として慎重な見方も残ります。
外交と実務の交差点
APECでの笑顔の握手から、寛容な滞在期間の設定まで。これら一連の動きは、中国の対日関係改善への本気度を示しているようにも見えます。国際情勢が不透明さを増す中、お互いにより実質的な関係を構築することの重要性を、両国が認識し始めているのかもしれません。
香港在住者の視点
香港在住の日本人として、30日という期間は確かな可能性を感じさせます。ビジネスの展開により余裕を持って取り組めることは、確実にプラスとなるでしょう。
この1年間で日中関係が改善するのか、あるいは遅々として進まないのか、興味を持って見ていきたいと思います。
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